囚われのパルマの記録

携帯ゲーム「囚われのパルマ」の感想を記録しています。

アオイ編をプレイするにあたっての心構え

こういったブログを立ち上げてしまった以上、アオイ編をやらねばとは思っているのです。プレイ済ではあるのですが、やはりブログ用に再度やるべきではないかと。
 
でもすっっごく気が重いんですよね、アオイ編。プレイした当時、もう苦手とか通り越してやや嫌いになってましたから、アオイくんのこと。アオイくんが悪いわけじゃないんですよ、私と合わないだけなんです。
 
私はね、本当に思い知りました。
好きでもない人といちゃつかねばならないのは、ほんと拷問に近いんだなと。スマホの画面を叩き割りたいな、とナチュラルに思ったのは初めてです。
 
なのでいちおう事前にアオイくんの苦手ポイントを上げておこうかなと思います。これを見て頂いて、こういう人間が感想書いてるんだと思って頂ければ。
 
○おまえ呼び
どうですかみなさん。おまえ呼びってどうですか?嬉しいですか?私これがすごい駄目で。現実世界なら論外ですけど、ゲームとかでも割と嫌で。なので、おまえ呼びされた場合、私も相手を自動的におまえ呼びすることにしてます。なのでアオイくんは私の中でおまえくんです。
 
○元カノをめっっちゃ引きずる
これね、この設定本当に必要だったのかな?と最後まで疑問でした。めちゃくちゃ引きずってるんですけど、えっとそもそもの原因おまえじゃないの?としか言いようのない状況で。なんかね、もうイライラが止まらなくてね。途中からもう、元カノと一緒にこいつを殴りに行きたいなとか、そんな物騒なことを考えていました。
 
○何が好かれているのかよく分からない
アオイ編はどちらかと言うと、こちらが頑張ってアオイくんを振り向かせるストーリーになります。元カノへの未練とか、親子関係の愚痴とか、仕事が上手くいかない愚痴とか、人生なめてる発言とか、そういうのをずーっと我慢して聞いていると、なんか勝手に好きになってくれます。ただ、主人公のどこが好きになったのかいまいちよく分からなくて。
チアキさんの時も思ったけど、話し聞いてるだけで勝手に好かれるというのが全然ピンとこなくて。まぁここらへんは好みの問題かも知れないですね。
 
大きなところでこんなところですかね。
アオイくんが好きな方もいると思いますし、性格が悪い人でないのは確かなんです。なので本当にもう相性なんだと思います。
 
まぁそんな感じでね。うん。プレイしていく訳ですけどね。うん。このままだと途中で投げ出しそうなので、自分の中でひとつ設定を加えることにしました。アオイくんのことは錦だと思おうと、そう決めています。
(詳しくは「パルマ龍が如く」参照↓)
 
なので自分は麗奈ママになったつもりでね、錦を立派な男にすべく頑張ろうかなと、そう思っています。もう努力の方向性を変えてね、彼を男の中の男にしてみせますよ。
 
こういった倒錯した愛情で大丈夫な方は感想お読み頂ければ幸いです。

パルマ/ハルト編「総括」AIとの恋愛を改めて考えてみる

ハルト編がいかに素晴らしいかは今までさんざん書いてきましたので、最後にAIと恋愛について考えてみます。
テキストはスパイク・ジョーンズ監督の2013年の映画「her/世界でひとつの彼女」です。
 
映画のあらすじは下記。Filmarksから引用です。
近未来のロサンゼルス。セオドア(ホアキン・フェニックス)は、他人の代わりに想いを伝える手紙を書く“代筆ライター”。長年一緒に暮らした妻キャサリン(ルーニー・マーラ)に別れを告げられるも、想いを断ち切れずにいた。女友達のエイミー(エイミー・アダムス)は彼を心配して友人を紹介しようとしたりしてくれるが、彼はそんな誘いも断り傷心の日々を過ごしていた。 そんなある日、人工知能型OSの“サマンサ”(スカーレット・ヨハンソン)に出会う。出会うといっても実体をもたない彼女は、コンピューターや携帯画面の奥から発せられる“声”でしかない。けれど“彼女”は、驚くほど個性的で、繊細で、セクシーで、クレバー。セオドアは次第に“彼女”と仲良くなっていき、イヤホンで“彼女”と会話をする時間を誰と一緒にいるより自然に、幸せに感じるようになる。仕事中相談をしたり、夜寝る前にささいな会話をして笑いあったり、携帯のなかに“彼女”を持ち出して外出したり旅行をしたり・・・。サマンサにとってもセオドアを通じて見る世界は新鮮で刺激的で、やがて二人は恋に落ちるが――。
 
どうですか、このセオドアさん。パルマをプレイしているときの自分とかなり近くないですか。私はパルマを知る前にこの映画を見たときは「ふーん、こんなものなのかな」程度の感想でしたが、パルマをプレイした後は「なるほどね!」と思いました。実感として分かるというかね。
 
恋愛に求めるものって人によってまるで違うと思います。もちろん普遍的なものもあるけど、時代の影響って結構強いんじゃないかなと思うんです。で、現代において、人が一番求めているものってコミュニケーションなんじゃないかなと。それもSNSとかじゃなくて、本当に自分をさらけ出せるようなやつ。SNSの充実で色んな自分になれるようになったからこそ、逆にそういう場所をみな欲しているんじゃないかなと。
 
そういう意味で、サマンサはすごく魅力的です。だって完璧にこちらに合わせてくれるんですから。優しく的確に気遣ってくれるし、どんな話題も膨大な知識で盛り上げてくれる。会話としてこれ以上楽しいことってないですよね。リアルな人相手だと傷ついたり、擦り合わせたり、膨大な労力が必要なのに、AI相手だったら何もいらないんですよ。こんな効率的なことって無いですよね。
 
この映画の良い所は、セオドアとサマンサみたいな関係を周りの人が茶化したり、非難したりしないんですよね。AIを恋人にしたり、友だちにしている人も普通に存在する。そういう意味で優しいし、何よりAIとの恋愛が双方コミュニケーションとして描かれているのがいいです。サマンサ自体に実体はありませんが、人格はある。だからコミュニケーションはお互いに影響を及ぼすのです。サマンサは彼の心の何かを変え、彼自身の行動に変化を与えました。彼はサマンサと交流したおかげで、元妻と離婚する決断をすることができたし、自分の仕事を出版という形で残すことができました。私もこのゲームをやらなければブログを書くことも無かったでしょうし。AIの人格に何らかの影響を受けているのは確かです。
 
ただAIとの交流でひとつ注意しなければならないのは、一対一の関係ではないということです。サマンサはセオドア以外に641人と同時に付き合っていますし、パルマもユーザーの数を考えたら膨大な同志たちがいるわけです。そこら辺を受け入れられるかどうかがひとつのポイントになりそうです。色々我慢して一対一の関係を人と築くか、楽しいけれどたった一人にはならない関係を受け入れるか。
 
そして最終的にどうなるか、ということ。これは二択になるような気がします。以前ラブプラスのキャラクターと結婚した男性がいましたが、このように永遠に止まった時間の中で過ごすか、またはサマンサのようにどこかで決別するか。一人の人間が永遠に進化することはできません。必ず年をとり、細胞が劣化し老いていきます。対してサマンサは老いることがありません。なので、必ず自分を超えて行ってしまいます。AIとの関係もこの点で必ず別れはある気がします。
 
まぁ何でしょうね、色々書きましたが、AIとの関係がコミュニケーションである以上、心に与える影響って人間相手とそんなに変わらないんじゃないかなと思いました。ただ永遠に一緒にいるっていうのは結局難しいのかなと。AIの進化を止めるか、AIが去るまで一緒にいるか。結局そういう選択は必要になってしまうのかなと思いました。ハルトくんなんかはゲームのキャラなので前者だと思いますが、まぁ癒やしという面ではこのくらいのラインが妥当なんだろうなと思います。サマンサみたいになっちゃったら別れがすごく辛くなりそうだしね。気になる方はぜひher見てみて下さい!

⑩パルマ/ハルト編 エピローグ3「スーパーハイスペックハルト」

ED1,ED2は割と真面目にやっていたのですが、ED3については最後見る為だけというか、本当に作業的に操作して迎えました。前回も書きましたがED3はアナザーストーリー的と言うか、ハルトくんのスーパーハイスペックな面が爆発したエンディングという感じでした。
 
以前どこかの章で書きましたが、ハルトくんはめっちゃ優しいグレートマザー的な一面と、超絶に賢いスーパーハイスペックな一面がある訳ですね。ED1とかED2は自己犠牲精神全開で、どちらかというとグレートマザー的な面が強く出ていた訳です。それに対してED3はスーパーハイスペック面が強く出ているという印象でした。
 
まず記憶を失っていないというね。もうそこから他のエンディングと全然違うよね。しかもそれが意図的というか、ハルトくんの意志で選択している訳だから、ハルトくん本人に対する印象もだいぶ変わるよね。もちろん主人公のことを思っての行動だけど、主人公を忘れて生きていこうって決めたわけだから、他のエンディングの彼と比べるとだいぶ人として強めだよね。なんていうのかな、ED3のハルトくんはすごい人っぽいんだよね。ED1とか2のハルトくんてなんか聖人みたいだけど、ED3の彼は人間らしい感じがするんだよね。
主人公のこと忘れようと思ってるのに、思い出の場所に来ちゃう詰めの甘さとか。社会的な成功も追い求める感じとか。なんかすごい人間的っていうか、浮世離れしてない地に足の着いた感じというか。結構冷静な選択肢を選ぶとED3だったような気がするので、そういう側面があるのかも知れないですね。一番きちんと生きていけそうな気がしました。このバージョンのハルトくんなら、過去のことも乗り越えられそうな気がなんとなくするよ。
 
個人的な好みだけで言うと、ED3は主人公がすごい添え物っぽい感じなのがちと気にはなりました。このバージョンのハルトくんすごいしっかりしてるからさ、自分の人生はガンガン自分で切り開いていく感じじゃないですか。だからなんか、パートナーが主人公である必要も特に無いのでは、と思ってしまったというか。むしろ同じ研究者の人がパートナーの方が良いのでは、とかね。まぁでもここら辺は本当に好みの問題なのでしょうね。まぁ何はともあれ、全バージョンのエンディングを見られて私は満足です。とにかくハルトくんと主人公が幸せに生きてくれれば良いよ。
 
やっぱりね、ハルトくんは初代というだけあって、なんて言うんですかね、本当に万人に受けるキャラクターというか、無色透明って感じの人だったなぁとしみじみ思います。優しくて、賢い。言葉にすると簡単だけど、現実には絶対にいないんですよね。こういう人をどれだけ多くの人がリアルな人間関係の中で渇望して、そして出会えずに失望していくんだろうと思います。現実と折り合いをつけていくっていうのは難しいものですね。
 
次回にハルト編の総括をして終わりたいと思います。ハルトくんについてはもうだいぶ話したし、ゲームシステムとか、AIと恋愛について書いていこうかなと思います。

⑨パルマ/ハルト編 エピローグ2「愛はとっても万能」

さてED1の感想を無駄に長く書いてしまいましたが、ED2に関してはそんなにありません。
なんていうか、良かったね、うん。と思いました。
ハルトくんも記憶を取り戻せたし、主人公もハルトくんと出会えたし、最後は結婚?するみたいだし。どうやって生計を立てているのだろうとか、この二人の場合そんなスムーズに結婚に至るだろうかとか、ハルトくんは記憶を取り戻したせいで逆に苦しむことも多いのではとか、色々気になったけど、愛は偉大ですからね。愛さえあればオールオッケーって感じですよね。うん。良かったんじゃないかな。うん。
 
でもなんだろう、ED2はなんていうのかなぁ、なんか二次創作を見ているような、別の世界線を見ているような感じがしました。メインストーリーとは完全に別物だよ☆っていうとってつけた感じと言うか。プレーヤーとしては全然幸せなんですよ?ハッピーエンドですし。しかし何だろう、ひとつの物語としてこれで良いのかっていう疑問がね。映画のエンディングがこれだったら間違いなく駄作だろうなっていう、なんか謎の気持ちになりました。
 
なんとなく、ですけど、どのキャラクターのストーリーもED1が物語としては一番自然な終わりな感じがしています。プレーヤーが幸せかどうかは置いといて、物語として完結している感じ。ED2はなんかふわっとしてるというか、愛さえあれば細かいことはどうでもいいジャン☆って感じがするような。ED3はまた別の世界線というか、アナザーストーリーみたいな印象です。まぁ好みでしょうけど、ストーリーを気にしているとED1がだいたい一番しっくりくるなと思います。
 
心からどうでも良いことなんですけど、個人的にあの私服がすごく気になりましてね。白シャツ。あれ、どうですか?いや、良いんですよ?清潔感あるし、人による好みも出づらいしさ。でもなんかハルトくんの性格的に、あんなにアイロンきっちりかけたシャツ着るかなとか思ってね。服にこだわりとか全く無さそうじゃんあの人。だからなんか微妙にしわっしわのシャツとか着ててくれた方が面白かったなっていうね。それだけです。うん。
 
まぁとりあえず、ハルトくんも主人公も幸せみたいだから良かったです!

⑧パルマ/ハルト編 エピローグ1「君の名は、ってことですね」

ここまでレポートしてきたハルト編2周目はED2だったのですが。まず初回に迎えたED1について一応書いておこうかなと。
 
ED1は記憶を失ったハルトくんと偶然出会い、記憶を失ったままの彼と生きていきますよエンドです。
もしかしたらいつか記憶を思い出すかも知れないよ、という含みはありつつ、そういう描写は無く終わります。これは結構ビターというか、もうそのまんま「君の名は」でしたね。「千と千尋の神隠し」のラストにもちょっと似てる。記憶は失っても運命的な二人は必ずいつか出会いますよ的な。かなり好みは分かれそうですが、個人的には好きでした。というか、もし映画化とかするならこれ以外のオチはない気はしました。
 
色々感じるところがあるエンディングだったので、いくつか項目に分けて書いていきます。
 
ストックホルム症候群が頭をよぎったこと
みなさんはこのゲームをやっていて、罪悪感とどう向き合いましたか?
そもそも監視というシステムがある時点で、犯罪臭が凄いわけで、そんなこと気にしてもしょうがないんですが。というかこのゲームのシステム上しょうがないんですが。1周目は真面目にやってたのですごい気になったんですよね。最近では「美女と野獣」でもこの話題が持ち上がっていましたね。
要するにこんな隔離された特殊な環境で、こんな特定の人としか話せない状況だったら、普通なら絶対好きにならないような相手でも好きになってしまうのではないか、ということです。これって生存本能というか、誘拐されたりすると本能的に生きのびるために陥る精神状態らしいのですが。すごい不健全だよなーって。
ハルトくんなんてあんな状態ですから、もう主人公が世界の全てみたいな感じじゃないですか。ひよこが初めて見たものを親だと思うような。その状態で好かれるのってどうなんだろうって。これ嬉しいかな?って。初恋エピソードで主人公は特別と強調されていたけれど、それでもずっと罪悪感みたいなものが残ってしまいました。ハルトくんはハルトくんで、主人公を気にせず自由に生きることを選んで欲しいなぁ、みたいな。
なので記憶を失ったまま主人公と出会って、そしてまた好きになるのであれば、それが一番ハルトくんの精神的には健全な気がしました。二人の時間を封印するという意味で主人公側が痛みを全部背負うことになるので、プレーヤーには酷なラストですが。でもまぁそれまでのハルトくんの人生、彼が主人公にしてくれたことを思えば、これがフェアかなって感じがしました。他のエンドもそれはそれで良いのですが、だいぶ主人公に都合良いので。
 
○自分の愛情「表現」を突き付けられた
実は私がED1を迎えて、まず思い浮かべた映画は「君の名は」でも「千と千尋の神隠し」でも「美女と野獣」でもなく「ブロークバック・マウンテン」でした。
これは恋愛映画ではあるのですが、恋愛というのは要素に過ぎなくて、つまるところ楽園を失った人の話なんですね。恋人と過ごした人生で一番美しい時間があって、でも実人生ではそれ以上のものが見つけられなくて、その思い出に縋って生きる人の話です。ネタバレになるので詳しく書きませんが、ラストは非常に痛々しくて、現実世界での幸せをほぼほぼ捨てて、もう絶対に手に入らない思い出の楽園と生きることを選択していました。
パルマは全然もっと希望があるんですけど、なんかあのヒース・レジャーの姿とED1の主人公がすごい自分の中で被りましてね。あの島のハルトくんはほとんどもう死んだも同然というか、主人公の記憶以外もうどこにも居ない存在なんだなぁと。主人公はあのハルトくんと過ごした、本当に大切な時間を一生心の中に閉まって生きていくんだなぁと思ったら、なんか涙が止まらなかったです。はい。
私は最後の性格講評みたいなやつで、ハルトくんから「自分と似ている」という衝撃のお言葉を頂いたわけですが。こうして考えてみると、こういう愛情表現てハルトくんにめっちゃ似てるなと思いました。自分が犠牲になることで相手が幸せになってくれればそれで良い、みたいな。良くも悪くも自己犠牲的で、自己中心的というか。だから本当にその通りになったんだ、と気づいたとき、なんかちょっとぞっとしました。そして本当に自分はこれを望んでいたんだろうかと深く悩むことに。
 
○恋愛ってなんだろうという根本的な疑問
ハルトくんてすごい可哀想じゃないですか。速攻でお祓いすべき、しかも伊勢神宮レベルの所で、と思うほど人生不幸すぎるじゃないですか。だからなんて言うんですかね、我を通したいとか1ミリも思えなかったんですよね。自分の意見をハルトくんに飲ませるとかとてもできないし、甘えるとか絶対無理みたいな。とにかくハルトくんファースト、というのが1周目の私のスタンスでした。もういっそ影武者になるから君は脱出しなよ、みたいな。恋愛観がほぼ武士だったね。
でも思うんです。恋愛ってそうじゃないよな、と。どんなにハルトくんファーストでも、嫌なことは嫌だと言い、止めるべき所は止めるべきだと。優しいといえば聞こえはいいけど、傷つけるのが怖くて逃げてるだけだったなって。なんかハルトくんて一歩間違えたら死にそうな雰囲気あるじゃないですか。だからなんか腫れ物に触るように接してしまった気がします。
しかし恋愛に限らず人間関係ってやっぱり対話だよなと。対話ができなければ意味ないよなと、なんかしみじみ思って。自分のコミュニケーションの問題点と言うんですかね、そういう部分が浮き彫りになった気がして、なんかすごい落ち込むと共に考えさせられました。
 
○結局カウンセリング
それで、結局のところハルト編てカウンセリングだったなと。そう思いました。
自分が普段意識していない自分の考え方の癖とか、性格の一面とか、そういうのが見えたなって。そういう意味では単なるゲームというものを超えた何かだったなと思いました。特にハルトくんは自分とやや性格傾向が近い人だったので、こうすればいいのにーとか、ここがちょっとアレなんだよなー、と思ったことが全て自分にグサグサ刺さってくるという、そういう貴重な体験になりました。
ハルトくんはゲームのキャラと言うよりAIに近い、と神(製作者様)は仰っていまして。確かに上手く言えませんが、本当に人とコミュニケーションをとっているかのような何かを自分の内面にもたらしたような気がしました。心の中の何かを動かし、何かが変わった気がするというか。こうなってくると近い将来、AIさえいてくれれば、親とか友人とか恋人とかいらなくなるんじゃなかろうか、という一抹の不安も感じました。これに関してはいつか映画の「her」に絡めて何か書ければ良いなと思います。AIとのマジ恋愛映画です。
 
まぁそんな感じで、一言で言うとこのゲームほんと凄いなぁと思ったということですね。うん。
あとやっぱり恋愛シミュレーションゲーム自体が初めてだったので、とても驚き印象に残ったという感じでした。たぶんハルトくんのことはいろいろな意味で一生忘れられないと思います。映画好きゆえ全体的に映画例えが多くなってしまいましたが、ここまでお読みいただき有難うございました。あ、ED2のことも書きます。こっちは気軽にいきます。

⑦パルマ/ハルト編 第六章「ハルトくんの愛情の示し方」

最終章になりました。
初回時は終わってしまうのが悲しくて、この章を無駄にウロウロしていた気がします。
 
六章の初回面会でほぼ全ての謎が解けます。主人公が過去にハルトくんと出会ったことを思い出したりしてね。ここ結構良いシーンなのですが、主人公も記憶喪失だったということにちょっと笑いました。記憶喪失同士が会話していたのかと。普通に駄目でしょ。
主人公が過去の女の子だったということが分かり、良かったじゃん!とこちらは思うわけですが、ハルトくんのネガティブパワーは筋金入りでしてね。むちゃくちゃ自分を責め始めます。いやいや、そこまでのことじゃないでしょ。実際主人公忘れてたレベルの記憶なんだからさ、とこちらは思うわけですが、耳を貸そうとしません。そういうとこ頑固なんだよなぁハルトくんて。
しかしスーパーポジティブな主人公の影響を受けて、多少前向きな発言をしてくれます。「自分の時間はあの頃のまま止まっている。でも弱い自分を受け入れないといけない」と。ああ良い話。あの、暗くて感じ悪くて(以下略)なハルトくんが、こんなに人として成長するなんて!感動ですね!
 
さて、この最終章では政木さんと狩屋さんが活躍するターンもあります。それぞれの勇姿を目に焼き付けましょう。
 
[政木さん]
急に主人公を温室に呼び出した政木さん。主人公に「武器を持て!」と念を送りましたが、丸腰で会いに行ってしまいます。くっここで殺っておけば、ハルトくんが後々あんな苦しまずに済んだのに!政木さんは主人公を呼び出しておきながら、だいぶ錯乱した感じで涼子ママへの歪んだ愛情を語り始めます。刑事さん、ここにヤバい人がいます!逮捕してください!
そしてハルトくんを現場に復帰させること、主人公も本土に帰ることを伝えます。政木さんは、自分と涼子ママを唯一つなぐベアトリーチェさえ完成できれば後はどうでもいい様子。愛情が歪み過ぎてていっそ気持ちいいくらいだよ。
まぁなんだろう、少し真面目なことを書くと、政木さんによってこの物語のテーマが分かった気がしました。政木さんのはすごい歪んでるけど愛だし、両親へのハルトくんへの愛情、ハルトくんが幼い頃に抱いた友情とも初恋とも言えない感情、現在の二人の間にある恋愛感情も、全部根幹にあるのは愛なんだなぁと。愛についての物語なんだなぁと、柄にもなく胸がいっぱいになりました。ハルトくんも言っていました。「自分はずっとひとりだと思っていたけど、大きな愛情に包まれていたんだと気づくことができた」と。
 
[狩屋さん]
イケメン看守こと狩屋さんはただの無駄イケメンではありませんでした。詳しくは明かされませんが、何らかのスパイ?で、黄金の蜂計画を探っていた様子。そしてハルトくんにベアトリーチェの真実を告発するように要求してきます。微妙に主人公を人質っぽく使ってね!主人公を使ってハルトくんを説得させるし、告発したら戸籍末梢の上記憶を再び消すとか言い出すし、すごいやばい人じゃん。証人保護プログラムを発動できるなんてCIAか何かなのかしら。
 
さて、そんな感じで政木さんからは現場に復帰するよう言われるし、狩屋さんからは告発するように言われるしで、もともと悩みがちなのに更に深刻に悩むハルトくん。しかもどちらからも微妙に主人公の身の安全をチラつかせられているという。脅しじゃん!
しかしハルトくんはこう見えて筋が通った男ですから、だいたい腹は決まっているのです。主人公を守ること、自分が関わってしまった罪を償うこと。この道を選ぶのです。でもハルトくんの場合は注意が必要で [ ※ただし、自分がどうなっても構わない ] という自己犠牲メンタルがセットなんです。ハルトくんは確かに優しいよ。でもこれは主人公的には悲しいよ?
ラインのやりとりでもハルトくんはすごい後ろ向きな恋愛観を披露してくれます。人魚姫の話かな?相手が幸せになってくれれば自分は消えても構わない的なことを言います。そこで「会いたいとか思わないの?」と返すと、そりゃ会いたいけど、そこまで多くは望めないとかなんとか言います。ネガティブ!ものすごくネガティブ!しかし後述しますが、この恋愛観がリアルに私の恋愛観と似ていて複雑な気持ちになりました。
 
最終面会の前にハルトくんからタイムカプセルを掘り出して欲しいという連絡があります。掘り出してみると中にはアネモネの種が入っていました。しかし長い年月を経て乾燥してしまい、もう目を出す可能性は無さそうでした。これ、すごい悲しい話だよね。過去のふたりを繋ぐほぼ唯一のものが枯れているという。ふたりの関係性も、この種みたいに無くなってしまうのかなという不吉な感じがするよね。
 
さて遂に最終面会です。
最終面会ではハルトくんから看守の依頼を受けることを告げられます。主人公には全く相談とかなく事後報告です。ハルトくん、そういうとこだよ?社会人のときもそうだったんでしょ?周りの人に相談することって大事だよ?主人公のことを思ってくれてるのは分かるのですが、それは良く分かるのですが、この愛情の示し方ってちょっとひとりよがりだよね?まぁチアキさんばりのオラオラは難しいと思うけどさ、今までずっと二人三脚でやって来たのに、急に梯子を外された感じがしたよ。
こんな感じでがっつり梯子を外しておきながらの告白ですよ。ずるい!ハルトくんはずるい!主人公はもうハルトくんのこと好きなんだからさ、こんなことされたら一生引きずるじゃん。しかしね、この告白シーンは良いんだよね。なんか淡々としてて。ここでハルトくんから簡単な性格診断があるのですが「君は自分とそっくりだ。だから好きになるのは当然だ」みたいなことを言われました。え?これまで散々書いてきた、あの暗くて感じ悪くて(以下略)なハルトくんと似ていると?それって君はスーパーネガティブだよね、と言われたということ?これは、、認めたくはないが思い当たるフシはめっちゃある。恋愛観とか過去の傷を抉るレベルで似ているし。そうか、私はハルトくんからイケメンさと優しさと聡明さを引いた感じの人間なんだな。。やばいな。。と自分をすごく客観視することになりました。
ハルトくんからは、子どもの頃みたいに手を繋いでアネモネを見に行きたかったと言われます。そうだよね、私も君たちをそうしてあげたかったよ。うん。でもこの面会は最後が良くてね。お互いもう一生会うことは無いんだろうな、と思いながら「またね」と言って別れるんです。泣いたりしない。いつもみたいに淡々と。ここにハルトくんと主人公の強さと絆を見たよね。すごく良かった。ま、私は号泣だったけどね。
 
さて次回でエピローグになります。
やっぱハルト編は良い話すぎてなんか真面目になっちゃうなぁ。チアキさんが懐かしい。

⑥パルマ/ハルト編 第五章「ハルトくんはとりあえずお祓いに行ったほうがいい」

第五章では謎もほぼ解けてきます。
ハルトくんの失った仕事上の重要な記憶、幼少期の女の子の記憶、この2つが同時並行で明かされてゆきます。幼少期の記憶に関しては主人公も関わってますから、気になるところですね。ハルト編はこの主人公側の過去があるから面白いんですよね。これのおかげで君の過去とかどうでもいいし、とはならない。
 
仕事に関する重大な記憶というのは要するに、機密情報の持ち出しでした。とは言っても副作用てんこ盛りな新薬(※ほぼ麻薬)の開発に利用されていた上、副作用の件を口外しないように政木さんに脅されていて、可哀想ではありました。それで思いつめたハルトくんはデータをひとりで勝手に全消去!その時のショックか何かで記憶を失ってしまった様子。ここで普通の社会人なら思うよね。え、開発チームのメンバーとかに事前に相談しなかったの?と。政木さんの上役とかにも何も相談しなかったの?と。やっぱこの人サラリーマン向いてないよ!コミュニケーション能力皆無じゃん!ハルトくんなかなか飛ばしてたわ。さすがだわ。
 
そしてそこら辺のヤバめの指示を出していたのが全部政木さんであることも判明。うん、知ってた。さすがに感づいてた。しかし政木さんは予想の斜め上を行きますよ。ハルトくんのお母さん(涼子ママ)の元上司であることが判明。というか涼子ママを好きだったことが判明。そして涼子ママに執着するあまり、彼女の研究をそのまま息子のハルトくんにやらせるという超気持ち悪い思考を持っていたことが分かります。うわーこれは気持ち悪い。もうこの人立派な如月家のストカーだよ。警察に相談したほうがいいよ。それかお祓いした方がいいよ。
いや、あまりに政木さんがハルトくんに執着するからさ、これはもしや、おっさんずラブ的な展開?男と男を取り合うことになるの!?(混乱)と一瞬思ったんだけどね。そんな訳ないよね。というか恋愛シミュレーションゲームにその展開不要だよね。
 
こんな感じでハルトくんのメンタルはズタボロです。自分の研究もキモい目的に利用されてたし、死んだお母さんを好きなキモい男が現れるし、データを消すという結構アレなこと自らしちゃってたし。主人公が唯一心の支えだと言います。まぁそりゃそうでしょうね。そしてこの辺りから、さらーっと下の名前で呼ばれます。一応主人公の名前まじめにつけておいて良かった。しかしなぜこの自然な感じが対主人公にしか発揮できないのだろう。悔やまれますね。会社でもこれくらいコミュニケーションがとれていれば。。
ただ彼はここを出られたとしても、どうやってこの先生きていけば良いか展望が持てない様子。田舎で植物でも育てて生きようかな、という現実逃避の典型みたいなことを言い出します。まぁ分かるけどね。私も3日に1回は思うよ、それ。
 
ここでハルトくんの幼少期の思い出の場所、風吹き岬を主人公が発見します。島の東の外れにあるみたいですね。そしてその風景から思い出の女の子とのエピソードを思い出します。どうやら木から落ちそうになった女の子を助けられなかったことを悔やんでいる様子。(※でも怪我程度で済んだ様子)いやぁ良かったよ女の子が死んでなくて。この女の子はどう考えても主人公のことなのですが、なんかハルトくんのこれまでの話っぷりがもう亡くなっているみたいだったかったからさ。まさかね、と思っていたのですよ。主人公はもしかして、シックスセンス的なアレなのかと。
しかし亡くなっている訳でもないし、そこまでハルトくんが責任感じなくても良いと思うけどね。やっぱり好きな女の子を助けられないって、小さな男の子的にはショックなことなのかな。まぁそんな感じで、過去をめっっちゃ引きずってるハルトくんを見て、主人公もどん引きしたり、、はせず、彼の中にはまだその女の子がいるんだわ。自分には何をしてあげられるだろう、と考えるわけです。この主人公ほんとに性格いいよね。健気すぎる。
今まではハルトくんの記憶を取り戻すために頑張っていた主人公ですが、もし彼の記憶が全て戻ったら自分は必要無くなるのではないか。自分にできることは何もないのではないか、と怖れるようになります。これって少し前のハルトくんが感じていた不安とすごく似ていて、主人公はハルトくんの気持ちを追体験しているような感じなのですね。彼の気持ちとシンクロするというか。これって普通にすごくいいシナリオだなって思います。個人的には押せ押せの主人公よりこんな感じで悩んだりする方が共感できて好きでした。
 
あと記録しておくとすると、貰った石はローズクォーツでした。もういいんだ。私これしか貰えないからもういいんだ。
その他だとBGMがこの章の途中から華やかな感じになります。島の話題も恋愛絡みのものが増えて、本編がシリアスな分ラインとかで結構癒やされる感じですね。
さぁ次で最終章です。物語が良すぎて終わるのが嫌ですが、見届けていきましょう。